下肢静脈瘤の症例

2017.08.18

難治性潰瘍を伴った大伏在静脈瘤に対して血管内焼灼術(ELVeSレーザー)+静脈瘤切除術

症例 1.  70代女性。数年前から静脈瘤があった。1ヶ月前から、かゆみが強く足に傷ができて治らなくなった。最近、風に当たるだけで痛みとビリビリする感じが出て眠れない。皮膚科へ受診して塗り薬をもらっていたがよくならず、痛み止めを内服しても効果ないとのことで紹介来院されました。弾力性ストッキングは、ストッキングタイプを持っていたがはいていない。

初診時の下肢の所見;下腿部皮膚は、白色萎縮しており、皮膚が硬く(皮膚硬化)なっており、周囲の皮膚は、熱感を伴い、発赤している。潰瘍は、瘢痕(傷跡)を繰り返している。

治療方針;痛みが強すぎて、弾力性包帯、弾力性ストッキングも使用できないくらいで、炎症をとるために湿布薬など検討しましたが、触れるだけで痛みがあり、うずくまってしまうぐらいでしたので、まず痛みをとる方針にしました。感染がないことを確認し、ステロイド内服、鎮痛薬投与を開始しました。徐々に、炎症(赤み、熱感、腫脹)がよくなってきたので、傷(潰瘍部)を閉鎖療法(キズパワーパッドのような物を使用)を施行しました。徐々に、痛みがとれて楽になってきたようで、手術を行う方針としました。

超音波検査では、右大伏在静脈の逆流が見られており、傷(潰瘍部)の皮下に静脈瘤がうねうねとあり血流が豊富でした。これによりうっ帯し、炎症を起こしていることがわかりました。

手術は、消毒したり触ったりすると痛がるので、静脈麻酔を施行して痛みを感じないように、少しボーとしてもらいながら、下肢静脈瘤血管内焼灼術+静脈瘤切除(小さい3mmぐらいの切開)を施行しました。手術が終わった時には、「もう終わったの痛くなかったわ。全然わからなかった。」と手術中、術後も痛みを感じないで歩いて帰宅して行かれました。

術後経過3ヶ月の写真です。

今後は、弾力性ストッキングを使用して、足をいたわっていただくように説明いたしました。下肢静脈瘤の治療をしても、その他の部位にできやすい環境や体質があるので、弾力性ストッキングは、もう治療したからいらないというのではなく、今後も時々はいていただくのが良いと思います。