下肢静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤の手術

下肢静脈瘤の治療法は症状に合わせて最適な治療法を選択することが重要になっています。近年、切開しないレーザー治療が保険適用になったことで、身体に負担が少なく、審美的(見た目)に優れたレーザー治療を選ばれる患者さまが増えてきています。

手術以外の選択 弾性ストッキング

手術以外の選択 弾性ストッキング医療用の弾性ストッキングは、足首やふくらはぎ、膝、腿などにそれぞれ最適な圧力がかかるように作られたもので、パンストタイプ、ストッキングタイプ、ハイソックスタイプがあります。
足を圧迫することにより表在静脈の血液逆流を抑制し、深部静脈への血液の流れを助けて足のむくみなどの症状を緩和させます。進行防止や症状の抑制には効果がありますが、下肢静脈瘤を治すことはできませんし、毎日履き続ける必要があります。
まだ症状が軽い場合や、既往症などで手術に不安がある際には適した治療だと言えます。
医療用の弾性ストッキングはかなり圧力が高いため、誤った着用方法を続けていると皮膚などに悪影響を及ぼす可能性もあります。医師に相談して着用しましょう。

下肢静脈瘤の手術

下肢静脈瘤の逆流を軽減させるため、下肢静脈を抜去または閉塞する手術を行います。逆流が軽減されることで、むくみ、だるさ、色素沈着、潰瘍などの症状改善が期待できます。手術で閉塞や抜去されるのは表在静脈であり、その血管がなくなった場合でも血液が深部静脈を通って心臓に戻っていきますので問題はありません。
さまざまな手術方法があり、症状などに合わせて最適な治療法を選択します。

レーザー治療(血管内焼灼術)【健康保険適用】

レーザー治療(血管内焼灼術)ストリッピング手術と同じような効果を得られるだけでなく、局所麻酔のみで行えるため身体への負担が少なく、切開しない手法で行っているので審美性も優れています。後遺症のリスクも低く、保険適用になっているため、レーザー治療ご希望になる患者さまが多く、当院でも力を入れている治療法です。
弁不全を起こしている静脈の中に細いレーザーファイバーを挿入し、」静脈の内側を熱で焼いて閉塞させますが、焼かれた静脈はその後数ヶ月かけて繊維化します。当院では、レーザー治療に伴う痛みを最小限に抑えるため、水に良く吸収される波長1470nmのレーザーを使い、静脈だけを焼灼できるようにしています。これにより再発が防げるだけでなく、治療後に生じる痛みも大きく軽減しています。

レーザー治療(血管内焼灼術)さらに、先端にプリズムがついた“Radial fiber”というファイバーを導入しています。これは側面から360度レーザー照射が可能ですので、常に静脈とファイバーが密着しており、静脈だけを均一に焼灼できます。こうしたことで、術後の痛みや出血を大きく軽減できるようにしています。伏在静脈瘤に有効な手術方法です。

レーザー治療(血管内焼灼術)を動画で紹介

硬化療法【健康保険適用】

硬化療法静脈瘤のある血管に硬化剤を注射し、その上で圧迫包帯を巻いて血管を固めて静脈瘤を解消します。固めた血管は時間をかけて委縮していき、なくなります。
注射と圧迫包帯だけですので手軽に受けることができ、傷もほとんど残りませんが、弁不全による血液の逆流を改善することはできないので再発率が高くなっています。また、時間が経つと消えていきますが、色素沈着やしこりがしばらく残ることがあります。
側枝静脈瘤、網の目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤に有効な手法です。

硬化療法1(網目状静脈瘤に対する①)
 
硬化療法2(網目状静脈瘤に対する②)
硬化療法3(クモの巣状静脈瘤に対する)

スタブアバルジョン法【健康保険適用】

レーザー治療は、ふとももやふくらはぎの伏在静脈瘤治療に適していますが、患者様の症状によってふくらはぎにある蛇行した静脈瘤を完全に消すことができない場合があります。硬化療法との併用方法の他に、スタブアバルジョン法と言う治療方法があります。
スタブアバルジョン法は、レーザー治療を行っても細かな静脈瘤が残ってしまった場合に、その静脈瘤を特殊な器具を使って取り除く手法です。痛みがほとんどなく、傷も目立たないので審美性にも優れており、通院も必要ありません。手術後すぐに行う場合もありますが、経過をみてから実施することもできます。

皮膚照射レーザー

皮膚照射レーザー硬化療法では治療が難しい、細かいタイプのクモの巣状静脈瘤の治療に適した治療法で、ロングパルスYAGレーザーを使用します。圧迫や通院の必要もなく、切開も行いませんので外来で受けられます。
皮膚に照射したレーザーがそこを通り抜け、血管内のヘモグロビンに選択的に吸収されます。それにより血管内に光ダメージから変換された熱ダメージを与え、血管壁が癒着します。それで拡張した血管を消失させる治療法です。これはまだあまり一般的になっていない治療法ですが、当院では院長が専門的に下肢静脈瘤を診てきており、いち早く導入しています。
網目状やクモの巣状の静脈瘤に効果が高く、手術ではなかなか対応しきれない細かい静脈瘤にも行えるため、審美的にも優れた治療法です。

皮膚照射レーザー施術時の軽い痛みは外用薬や冷却で抑えています。色素沈着や水泡、発赤が現れる可能性がありますが、そのうち消えていきます。こうした症状が見られた場合には、回復を早める治療も可能です。
なお、まだこの治療は保険適用ではありませんので、自費治療となります。

クモの巣状静脈瘤・網の目状静脈瘤の皮膚照射レーザー治療の詳細はこちら>>>

高位結紮術【健康保険適用】

高位結紮術足の付け根(そけい部)の静脈の弁が壊れていることが原因となっている下肢静脈瘤の場合に行われる治療法です。足の付け根に切開を行って、そこから弁不全を起こしている静脈の根部をしばって切り離します。局所麻酔で受けることができますし、切開は目立たない位置に2~3cmであり、手術後の痛みや出血は少ないのですが、再発する可能性が他の治療法に比べて高い治療法です。
硬化療法と組み合わせて審美性の高い治療を行う場合もありますし、レーザーと組み合わせた数㎜の切開で高位結紮術を行うこともあります。

ストリッピング手術【健康保険適用】

ストリッピング手術弁不全を起こしている静脈を引き抜いてしまうという、下肢静脈瘤の手術として歴史が長い治療法です。麻酔は全身麻酔や下半身麻酔、局所麻酔(TLA麻酔)などから状態に合わせて選ぶ必要があり、足の付け根か膝の裏に2~3cmの切開を行います。その後、血管内に細いワーヤーを通して引き抜きます。
なお、ドップラー血流計で逆流の範囲が同定し、逆流のある伏在静脈のみを抜去する選択的ストリッピング手術も行っています。
再発率が低く、歴史も長いので安心感のある治療法ですが、後遺症に皮下出血、痛み、神経障害などが起こる可能性があり、麻酔方法によっては入院の必要も生じてきます。
伏在静脈瘤に有効な手術方法です。
※当院では、最新の保険適用レーザーを使った血管内焼灼術を主として行っております。

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